2025年4月17日 – 京都:京都大学医学部附属病院の研究者らは、人工多能性幹(iPS細胞)由来の神経細胞を脳に移植することで、パーキンソン病患者4名の症状改善に成功しました。この臨床試験は、iPS細胞由来細胞を用いたパーキンソン病治療の安全性と有効性を実証しました。
神経細胞は、臨床試験で使用されたiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の主要な製造・供給業者である住友製薬株式会社から提供されました。この臨床試験の成功は、進行性神経疾患であるパーキンソン病の新たな治療の可能性を切り開くものと期待されています。住友製薬株式会社は、試験結果に基づき、再生医療等製品の製造販売承認を国に申請する予定です。
この臨床試験にはパーキンソン病患者7名が参加し、副作用は認められませんでした。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)によると、7人のうち4人の患者はパーキンソン病の症状に顕著な改善が見られました。
京都大学CiRAの高橋淳所長は、参加者に感謝の意を表しました。同氏はこの画期的な成果を、神経変性疾患の再生医療における「大きな前進」と称しました。
同氏自身の言葉で、「この新たな試験の成功は大きな成果であり、この治療法をできるだけ早く患者さんにお届けしたいと願っています」と述べています。承認されれば、この新治療法はパーキンソン病などの神経疾患の負担軽減に重要な役割を果たすでしょう。
Coherent Market Insights(CMI)によると、世界のパーキンソン病治療薬市場は年平均成長率7%で成長し、2032年には93億9000万米ドルに達すると予測されています。日本や中国などの国々における神経変性疾患の有病率の上昇と、iPS細胞を用いた治療法などの先進的な治療法の開発が、この成長を牽引すると考えられます。
「住友製薬のような革新的な再生医療の開発と承認は、パーキンソン病治療薬業界の成長を加速させるでしょう。」 「パーキンソン病などの神経変性疾患に苦しむ患者にとって、新たな希望の光となる可能性があります」と、CMIのシニアアナリストは述べています。
日本ではパーキンソン病の有病率が著しく増加しています。厚生労働省によると、日本には約25万人のパーキンソン病患者がいます。この負担に対処するには、iPS細胞を用いた治療法のような先進的な治療法が必要です。
パーキンソン病などの疾患治療におけるiPS細胞由来細胞の成功は、日本をはじめとする各国における神経変性疾患の負担軽減に貢献するでしょう。従来の薬物療法への依存を軽減できる可能性も秘めています。
この有望な結果は、他の製薬企業やバイオテクノロジー企業が、先進的な再生医療の開発に向けてiPS細胞の研究開発に投資することを促す可能性があります。他の企業も、様々な治療におけるiPS細胞の実用化に向けて取り組むことが期待されます。また、研究機関との連携も検討される可能性があります。こうした取り組みは、今後数年間で再生医療産業の成長をさらに促進するでしょう。
出典:
新聞:ジャパンタイムズ
日本放送協会:NHK

