長年にわたり、日本の「おにぎり」はどこへ行ってもほぼ同じ形で親しまれてきました。しかし近年、三角形の「ライスボール」は変化を見せ始めています。サンドイッチ風の「おにぎらず」や、食べるのがもったいないほど可愛らしいキャラクター型まで、そのバリエーションは広がるばかりです。
そんな中、「もうこれ以上の驚きはない」と思っていた矢先に出会ったのが、全く新しいスタイルの「おにぎり」。その名も「おに弁(おにべん)」。販売しているのは静岡県の浜松駅と掛川駅にあるベルマートキヨスク限定です。
冷蔵棚のおにぎりコーナーを眺めていると、「これはおにぎり……?いや、おにぎりじゃない?」という不思議な形のものが目に飛び込んできます。
「おにぎり以上、弁当未満」をコンセプトに、2022年に登場したこの新スタイルのライスボール。商品名にはそのコンセプトを体現するかのように「おに弁」と名付けられました。
記者が訪れた際には、以下の4種類の味がラインナップされていました:
旨煮(うまに)
うなぎ
エビチリ
しらす&三ヶ日牛(静岡県三ヶ日産のしらすと牛肉)
見た目はまるでお弁当のように美しいトレーに収まっていますが、よく見るとそのトレー自体がご飯でできており、具材が上品に詰められています。
「ご飯でできたトレー?」と半信半疑になりつつも、新幹線で東京へ戻る道中、2種類を購入して試食することにしました。
「食べにくいのでは?」という心配をよそに、包装がしっかりしており、具材がこぼれることもなくとても食べやすい設計でした。一口ごとに異なる具材とご飯が口に入り、まるでお弁当を食べているような満足感がありながら、手軽に食べられるおにぎりスタイルという、見事な融合です。
中にはしいたけ、れんこん、にんじん、里芋、こんにゃくなどがたっぷり詰められており、「おにぎり」と呼んでよいのか、「お弁当」と言うべきか迷うほどのボリュームとバリエーション。そしてこれで1個250円(税込)という価格は、非常にお得です。
なお、食品業界全体としては、2025年から2032年の間で冷凍食品市場は年平均成長率5.3%で拡大すると予測されています。2025年の市場規模は3,145.5億米ドル、2032年には4,518.3億米ドルに達すると見込まれています。所得の向上と忙しいライフスタイルが、この成長を後押ししています。
さて、「旨煮」を食べ終えた後は、ちょっとリッチな「エビチリ」(350円)を試してみることに。
包装を慎重に剥がすと、中にはチリソースたっぷりの「おに弁」が現れました。ソースがこぼれそうなほどだったので、ここは思い切って大きく口を開けてガブリ。幸いにも服にこぼすことなく食べられました。
「旨煮」と比べると手が汚れやすいタイプですが、それを補って余りある美味しさ。アツアツで甘みのあるチリソースがクセになる味わいで、「もっと買っておけばよかった」と後悔するほどでした。
調べてみると、「カツカレー」味(350円)もあるとのこと。これはぜひ次回試してみたい一品。再訪の理由がまた一つ増えました。ついでに、近くにあるという「手掘りトンネル」にも足を運んでみようかと、ちょっとした冒険心も湧いてきました。

