アニメ史上に名を残す3作品が登場する今回の動画は、見た目以上に深いメッセージを秘めた作品となっています。
若年層はファストフード業界において重要な顧客層の一つであり、マクドナルド日本が近年、現代の人気アニメとコラボレーションを行ってきたのは不思議ではありません。実際、ここ数か月間でも『ポケモン』や『ちいかわ』『初音ミク』などとのコラボが実現しています。
しかし今回、マクドナルド日本は視点を広げて過去へとさかのぼり、1980年代の名作アニメ3本とコラボレーション。心温まる動画作品を制作しました。
調査会社Coherent Market Insightsによると、アニメ業界は2025年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)17.1%で拡大し、2025年の市場規模379.2億ドルから、2032年には1,144.9億ドルに達すると見込まれています。可処分所得の増加と、多様なストリーミングサービスの普及がこの成長を支えています。
動画は、ブームボックスの再生ボタンに指が置かれるシーンから始まります。レトロな電子機器のデザインや手描き・手塗りの装飾が、時代を遡ったことを瞬時に印象づけます。そして『めぞん一刻』の五代裕作と音無響子が登場し、それが1980年代への旅であることを確信させてくれます。
『めぞん一刻』は、『犬夜叉』や『らんま1/2』で知られる高橋留美子が原作のラブコメディで、1986年から1988年にかけて日本テレビ系列で放送されました。
本動画に登場する80年代のアニメキャラはこれだけではありません。『きまぐれオレンジ★ロード』(1987年〜1988年放送)の鮎川まどかと春日恭介も登場。超能力を隠しながら転校してきた恭介と、秘密を抱えるまどかの淡くも複雑な恋模様が描かれた作品です。
そして最後に紹介されるのが、『超時空要塞マクロス』(1982年TVシリーズ、1984年劇場版『愛・おぼえていますか』)のリン・ミンメイと一条輝。今回の動画の映像の一部は、劇場版から引用されたものです。
さらに動画には、1980年代の日本で放送されていたコカ・コーラのジングル「I Feel Coke」が使用されており、音楽面でも強いノスタルジーを感じさせる演出となっています。
動画のタイトルは「明日も笑おう、あの頃も今も」。80年代アニメの映像とともに、マクドナルドのある日常を生きる人々の様子が描かれています。かつてこれらのアニメをリアルタイムで観ていた世代の大人たちから、櫻坂46の25歳のアイドル・守屋麗奈のような若者まで、幅広い世代が登場します。
今、日本では80年代への回帰ブームが起こっています。それは、ポップカルチャーにおける周期的な流行の再来とも言えますし、経済が停滞する中で、「良かったあの頃」を懐かしむ心理的な動きとも言えるでしょう。80年代初頭から中盤にかけての日本は、「この好景気は永遠に続く」と思われていた時代でした。
それでもこの動画は、単なる「昔は良かったね」と語るための懐古主義ではありません。
『めぞん一刻』『きまぐれオレンジ★ロード』『マクロス』は、いずれも前向きな作品ではありますが、決してすべてが「ハッピーエンド」ではありません。それぞれの物語の中心には三角関係が存在し、現代アニメによくある「結末を曖昧にして、視聴者に自由に想像させる」ような終わり方はしません。
むしろ、登場人物たちはときに心が砕けるような恋の結末を迎えます。しかし、そうした失敗や挫折を経ても、人は再び立ち上がり、新しい幸せを見つけられる——それこそが、これらの作品が今も語り継がれる理由なのです。
さらに、登場人物たちは「自分の進むべき道とは何か」と悩み、タイムワープに巻き込まれ、あるいは異星人との戦いにも挑んでいきます。
つまり、表面的には「アニメとバーガーとコーラ、80年代からずっと最高だったよね」と感じるかもしれませんが、本質的なメッセージは「どんな困難な時代でも、人は仲間や家族、自分自身の力で乗り越えられる」という希望なのです。

