地元ジャーナリストの砂古間正貴(すなこま・まさのり)氏が、自身の質素な軽自動車を、ドン・キホーテの「メガドンキ」店舗で購入したアクセサリーだけを使って、完全なる“ヤンキーパーティーカー”へと変身させることに成功した。かかった費用はわずか1万円(約67米ドル)未満だった。
激安の弁当やコスメ、アダルトグッズで知られるドン・キホーテだが、そのカー用品売り場は見過ごされがちである。だが今回の試みによって、個性を引き立てる車内アクセサリーの隠れた宝庫であることが明らかになった。軽自動車は、日本で最も小型の車両区分で、寸法やエンジン出力に厳しい制限がある。しかし、このカテゴリーの車が、攻撃的かつ反骨精神を表現する「ヤンキー」スタイルと結びつけられることはほとんどない。
「ヤンキー車」は、不良や若者のサブカルチャーに属する人々に好まれ、派手な内装や巨大な装飾、目立つ演出が特徴とされる。年齢的には“ヤンキー世代”を過ぎている砂古間氏だが、スタイルに対する理解を活かして車を見事にアレンジ。その結果、実用的なシティカーが、一瞬にして“走るパーティールーム”へと変貌を遂げた。
今回購入したアイテムには、光沢感のある毛皮風ステアリングカバー、ホッキョクグマの毛皮のような質感のダッシュボードマット、そして白ムスクの香りが漂う麻の葉模様のエアフレッシュナーが含まれていた。砂古間氏いわく、「白ムスクの香りがなければヤンキー車とは言えない」とのこと。
カスタマイズはそれだけでは終わらない。LEDストリップライトを設置して車内を鮮やかに照らし、ドリンクホルダーには光るコースターを追加。さらには、音楽に合わせて5パターンで光るLED付きスピーカーも搭載した。取り付け作業は数分で完了したが、効果は劇的だった。すべてをセットし終えた車内は、まさに“軽自動車の中に詰め込まれたナイトクラブ”と形容できる仕上がりに。砂古間氏は「気分が上がり、懐かしい若かりし頃を思い出した。どのドライブもパーティーのようだ」と語った。
このDIY改造は、カーインテリア市場の拡大傾向ともタイミングが一致している。Coherent Market Insightsの予測によると、カーインテリアアクセサリー市場は2025年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)5.8%で成長し、2025年の3,219.9億米ドルから、2032年には4,781.1億米ドルに達する見込みだ。贅沢感のあるカスタムインテリアに対する需要の高まりが、その成長を後押ししている。
今回の砂古間氏の実験は、軽自動車の新たな可能性を示すだけでなく、ドン・キホーテのカー用品分野における隠れたポテンシャルも浮き彫りにした。当初は軽い気持ちで始めた車の模様替えが、いつの間にか自分自身と車の“アイデンティティ”を一新させるものとなったという。「白ムスクの香りに包まれ、ライトが点滅し、低音が響き始めた瞬間、またヤンキー魂がよみがえった」と語る砂古間氏。「たった数個のアクセサリーで、どんな車も忘れられない体験へと変えられるんだと気づいた」。
今後も彼は、弁当やコスメのためではなく、ヤンキー車のさらなるドレスアップのためにドン・キホーテを再訪する予定だという。

