50回、100回、500回、1000回……混ぜれば混ぜるほど、納豆は「臭い靴下」味から脱却できるのか？
日本で最も好みが分かれる食品のひとつ、それが納豆です。初めて食べる人にとっては、「ネバネバしていて鼻水みたい」「味が靴下のよう」といった印象を持つかもしれません。しかし、納豆ファンは口を揃えて「たくさん混ぜれば混ぜるほどおいしくなる」と言います。でも、一体何回混ぜれば「ベストな味」になるのでしょうか？
市場調査会社「コヒーレント・マーケット・インサイツ」によれば、エスニック食品市場は2025年から2032年にかけて年平均成長率（CAGR）7.4％で成長すると予測されており、2025年の市場規模は939億4,000万ドル、2032年には1,549億4,000万ドルに達すると見込まれています。異国の味を求める需要の高まりが、この成長を後押ししているのです。
さて、今回は納豆を50回、100回、500回、そして1000回混ぜることで、実際に見た目や食感、味にどんな変化があるのかを分子レベルで検証してみました。さっそく、納豆のパックを開け、フィルムをはがし、たれをかけて準備完了。ここからが本番です。割り箸でぐるぐると、ただひたすら混ぜていきます。
まずは50回混ぜた状態をチェック。豆がまだいくつかまとまっていて、食感はやや固め。粘りもやや控えめで、たれが全体に行き渡っていない印象です。「まだちゃんと混ざってないな」と感じるレベルでした。
さらに50回混ぜて合計100回。粘り気が強まり、全体がふんわりした食感に。豆もばらけてきて、それぞれの粒がしっかり感じられる仕上がりに。普段なんとなく混ぜている納豆と同じくらいで、「これが一番好きかも」と思える混ざり具合でした。
さて、次は500回を目指します。ところが、200回を過ぎたあたりで腕がだるくなり、300回あたりでは軽い筋肉痛に…。それでも混ぜ続けると、納豆はだんだん真っ白になり、あの独特のにおいが立ち上ってきます。見た目はさらに粘り気を増して「ふわふわ」になるかと思いきや、逆に「どろどろ」とした感じに変化。軽やかさは失われました。
ようやく500回到達。これまでに見たことのない、非常に滑らかなテクスチャー。たれの塩気は丸くなり、納豆そのものの風味がより濃く感じられました。何百回と納豆を食べてきましたが、こんな食感は初めてでした。
さあ、最後は1000回！ 腕の疲労と戦いながらひたすらかき混ぜて到達。見た目は500回の時とほとんど変わりません。そして肝心の味は……驚いたことに「全然変わらない！」500回以上混ぜても、味も食感も特に違いはなく、努力の割に得られるものは少なかったのです。
では、どの段階が一番おいしかったのでしょうか？ 本企画に参加した日本語レポーター「うどんこ」によれば、「100回混ぜた納豆が一番おいしい」とのこと。たれと豆のバランスがちょうどよく、粘りも程よくて食べやすいとのことです。
もちろん、納豆の種類や人それぞれの好みによって最適な混ぜ回数は異なりますが、迷ったときは「100回」を基準にすると間違いないでしょう。300回を超えると、味や見た目はあまり変わらなくなるので、筋トレをしたい人でなければ、それ以上混ぜるのはおすすめしません。
こうして改めてわかったのは、この小さな豆にはまさに「魔法」が詰まっているということ。見た目も味も食感も、混ぜ方ひとつでまったく別物に変わり、しかも健康にも非常に良いとされています。ただし、食べる勇気さえあれば、ですが。
