住友製薬は、進行期パーキンソン病を対象としたiPS細胞を用いた治療薬の製造販売承認申請を日本で提出しました。この申請は、臨床試験の成功を受けてのものであり、パーキンソン病治療における新たな基準を確立するものです。
この治療法は、健康なドナーから採取した人工多能性幹(iPS細胞)から誘導したドパミン神経前駆細胞を患者の脳に直接移植するものです。進行期パーキンソン病の運動症状の改善を目的としています。
京都大学主導の臨床試験において、住友製薬の人工多能性幹(iPS細胞)を用いた治療薬の安全性が確認されました。また、この治療法はパーキンソン病患者の症状改善にも有効であることが実証されました。
この研究には、50歳から69歳までのパーキンソン病患者7名が参加し、それぞれ500万個または1000万個の細胞が脳の両側に移植されました。細胞移植は両側に行われ、治療効果を評価しました。
健康なドナーから採取したiPS細胞が、ドーパミン産生脳細胞の前駆細胞へと変化しました。これらの細胞は、パーキンソン病患者では通常失われています。
研究によると、患者は2年間観察され、その間、重大な副作用は報告されませんでした。また、4人の患者で症状の改善が見られました。住友製薬も米国で臨床試験を実施しています。
パーキンソン病は、体の運動機能を障害する進行性の神経疾患です。一般的に、震え、こわばり、運動障害などの症状が現れます。
パーキンソン病財団によると、世界中で約1000万人がパーキンソン病に罹患しています。現代の治療法は、病気の進行を遅らせたり止めたりすることなく、症状を改善するものです。その結果、先進的な治療法に注目が集まっています。
大手企業や研究機関は、パーキンソン病の負担を軽減するため、同種iPS細胞由来ドーパミン神経前駆細胞などの革新的な治療法を研究しています。これは、幹細胞療法業界の成長を加速させると期待されています。
Coherent Market Insights(CMI)によると、世界の幹細胞療法市場は2025年から2032年の間に22.8%という力強い年平均成長率(CAGR)を達成すると予想されています。市場全体の評価額は、2025年には186億1,000万米ドル、2032年には783億9,000万米ドルに達すると予想されています。
この新しいiPS細胞を用いた治療法が承認されれば、パーキンソン病の治療に革命をもたらすでしょう。単に症状を管理するだけでなく、失われた神経機能を回復させることができる初の再生療法となるでしょう。
iPS細胞を用いた治療法の承認は、幹細胞療法を一般の人々が利用できるようにするための大きな一歩となるでしょう。この発見は、他の脳関連疾患の新たな治療法への道を開く可能性もある。
出典:
新聞:ジャパンタイムズ
企業:住友製薬

